大切な人を亡くした際のグリーフ(悲嘆)は、本来自然な反応で、全ての人に『グリーフケア』が必要なわけではありません。故人との愛着の度合いや年齢、亡くなり方などにより、『グリーフ』の程度は個人差が大きいのです。
統計では、6割の方は、家族や友人のサポートによって対処でき、悲しみはありながらも、社会生活に困難を生じない正常なストレス「通常の悲嘆」と言われています。
また、3割の方は、第三者からの支援が必要で、夜眠れなかったり、食事が摂れなかったり、気持ちに何かしら困難を感じ、グリーフを抱えています。「遺族会」などのサポートにより次第にケアされていきます。
残り1割の方は、悲嘆の程度が通常の範囲を超えて、不安症状や抑うつ症状が認められ、専門的な医療的介入を必要とします。「複雑性悲嘆・病的悲嘆」と言われています。
つまり、それぞれの状況で必要とするケアの方法は変わってきます。グリーフケアに携わる者として、その方その方のグリーフを理解することが必要です。また、望ましくない言動でさらに傷つけて(二次的傷つき)しまうことのないよう配慮することも大切です。ひとたび傷ついてしまった後は、二度とこころを開いてくださることはないでしょう。誰もが持っている適応する力(レジリエンス)・生きる力・勇気を信じて、グリーフケアに携わる者は、謙虚に、今ここで「ありのままを聴く」ことがとても重要です。
遺族会ネットワークの役割
グリーフケアで重要なことは、ケアを必要としている方に、必要なケアを提供することです。しかし、地域のどこにケアの場があり、どんなケアが行われているのか、その情報に触れることは難しいのが現状です。ケアには多様な受け皿があることが望ましく、利用する人にとって、自分に合ったグリーフケアを「選択できる」ことが大切です。
『グリーフ相談支援ネットワーク』では、グリーフケアを求めていらっしゃる方への情報発信の場として、『遺族会ネットワーク』へ参加していただける団体を募っています。グリーフケアをされておられる様々な遺族会・団体・グループの皆様と連携を取らせていただき、ネットワークが広がることを希望しています。『遺族会ネットワーク』への参加にご協力をお願いいたします。
多業種連携・交流会・研修会
「グリーフケアに携わる多業種が連携・協力・学びあい、ケアを必要としている方に満足度の高いグリーフケアを提供する」ことを目的として、定期的に交流会を開催しています。
医療・介護・心理・行政・福祉・教育・葬儀・ボランティアなど、多くの業種でグリーフケアは行われています。多業種が連携し、多様な視点・視野で、対等な立場で、情報交換や問題提起などし、グリーフケアについて学び合いたいと思います。日頃ケアをしている中で感じる、困難・疑問やストレスなども、仲間と共に分かち合いたいと思います。
また、社会へのグリーフケアの啓蒙活動を通して、多くの方に“望ましい対応”を知っていただき、誰もが困難を抱えておられる方を支えられる社会をめざすことも考えたいと思います。また、悲嘆について前もって考えることは、ご自身のACP「人生会議」を考えることにもつながる活動になると考えます。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会の開催を休止しております。
※オンラインでの交流会も検討中です